ダヴィンチ展
先日臨時閉館していたロイヤルコレクションのレオナルド・ダ・ヴィンチの素描展を鑑賞してきました。
ダ・ヴィンチの素描は15世紀から16世紀初頭にまたがり、この展示では紙に描かれているものがほとんどです。描画材料は鉛筆、ペン、筆で、顔料とアラビアゴムで彩色が施されているものもあります。
描写の的確さと科学への探究心は、同時代の書物とは比べ物にならないほど際立っていました。
周知のことと思いますが、ダ・ヴィンチはモナ・リザのような人物像だけでなく、筋肉や内臓などの身体の仕組みを非常に細かく描写しています。他に、機械、武器、水流、地図、植物や馬などの素描も数多く見られました。
画中の説明文は全て左右反転されて書かれています。奇人か天才と呼ばれる類の、一般的な人間とは掛け離れた才能の持ち主です。
没後500年を記念した特別展にも関わらず、写真撮影と掲載は自由だそうですので、少しご紹介したいと思います。
植物も、この当時の植物画からはかけ離れた写実的な表現がされています。
平面的な図解ではなく、奥行きや重なりが的確です。白と茶色のチョークで、背景をぼかした温かみのある特徴的な描写がされながらも、ミクリ属やコナラ属などの種がはっきりわかるように描写されています。
先日大英図書館で閲覧した15世紀イタリアの植物画と比較すると、躍動感とリアリティが突出して感じられました。
他にも、たまたま作品に残された指紋、スケッチブックの裏面に図柄を反転させた馬の描写、転写の痕跡、鉛筆の下書きなくペンだけで的確に描かれた作品など、貴重な素描を至近距離で鑑賞できとても勉強になりました。
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