作品調査42

リンドレー図書館で、ターピン(Pierre Jean Francois Turpin 1775-1840)の作品が含まれているLeçons de floreを閲覧しています。1819年にフランスで出版された本で、ヴェラムに銅版印刷した上から手彩色が施された作品を見ることができます。

メリアンがヴェラムに銅版印刷のプリントラインを用いている以外、ヴェラムに印刷された作品を見るのは稀なことです。
同じ内容の紙製の本の出版に併せて、2冊だけがヴェラム仕様で製作されたそうです。1枚1枚のページ全てが大変質の高いヴェラムで構成されていて、両面とも艶やかな光沢があり、毛穴や色むらは全くありません。
これまで見てきたヴェラムを振り返ると、上級品から粗悪品までじつに幅広い品質があることに改めて驚かされています。

この本は文字だけのページが大半ですが、Ⅲ巻には64点の銅版手彩色の作品が含まれています。印刷されたラインを頼りに、大変細かい描画技術で彩色されています。さらに金泥で枠線と学名などの文字情報が加えられており、見るからに高価な仕様です。このヴェラムの本は王室のために製作されたものだと聞いています。


はっきり断言はできませんが、これまで閲覧したフランスの作品はヴェラム自体の質が高いように感じます。なんとなくイギリスでの使い方とも相違が見られるような…。
ただし、イギリスにはるばる渡ってくるほどの作品は、フランス国内でも高水準に位置づけられるものでしょうから、ヴェラムの質が高くて当然であるとも言えます。

将来的に機会があれば、いつかフランスでもヴェラム作品を閲覧してみたいなと思います。

Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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