作品調査34
キュー図書館のマリア・シビラ・メリアンの作品を比較のために見返しています。
白色顔料が塗布されていたロイヤルコレクションの作品とは異なり、下の画像の作品にはそのような下地は見られませんでした。そのためヴェラムの白色度が低く、顔料の発色が鮮やかではありません。メリアンの制作の拠点はアムステルダムだったそうですが、生産地によりヴェラムの表面処理や性質も異なるだろうと想像しています。
顔料もロイヤルコレクションの作品とは異なり、隠蔽力の低いものを使って薄塗りで仕上げられています。
またエッチングによって印刷された線も見られないことから、画像の転写にいつでも銅版を利用していたわけではないことがわかります。
サインの趣きもロイヤルコレクションの作品とは少し異なるので、制作された年代にも隔たりがあるのかもしれません。
Polyanthus and Primroses
Maria Sibylla Merian
340x257mm
1700年頃
©︎ The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew
まだわからないことばかりですが、大変素晴らしい作家だということだけはよくわかります。
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