作品調査35

リンドレー図書館で銅版画作品を大量に閲覧しました。

ジョン・ミラー (John Miller 1715–1792) による、ボタニカル・テーブルという9巻セットの本に綴られたエングレービングの作品です。解説と併せて綴られた、1785年出版の植物学の専門書です。菌類や藻類を含めた様々な植物が分類され、各種類が部位ごとに抽出されて拡大されたり断面を描写されている図が主流です。

サイモン・テイラーがビュート卿に雇われていた頃と同時期に、ジョン・ミラーも同じくビュート卿に雇われてこの9巻を手がけています。
当時エイレットやテイラーの原画を元にミラーが製作した銅版画も見られるため、この本にも何か手がかりがあるかと思ったのですが、結局よくわかりませんでした。


ボタニカルテーブルには整理された美しい図が600点以上も並んでいますが、植物を機械的に図解したイラストレーションは閲覧していてもあまり面白くないです…。そもそも見て楽しむためには描かれていません。
このような説明図、つまり現代で言うところの「サイエンティフィックイラストレーション」をたくさん閲覧したことで、なぜ未だに植物学から少し離れた「ボタニカルアート」が存続しているのかわかったような気がしました。
両者の境界線はとても曖昧に見えて、目的が異なることを今更ながら実感しています。

Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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