作品調査33

ウィンザー城に収蔵される、マリア・シビラ・メリアン (Maria Sibylla Merian) の作品を閲覧させていただきました。


事前のドレスコードに従って着慣れない服装で訪れました。顔写真つきの証明書を発行してもらい緊張の面持ちで入城します。

ちょうど画像中央に見えているドアからプリントルームに案内していただきました。



プリントルームではメリアンを専門に研究されているケイト・ハード博士が担当してくださり、詳しいお話しを伺うことができました。ロイヤルコレクションには90点以上のメリアンのヴェラム作品が収蔵されています。そのうち22点を閲覧しました。
ハード博士は、修復担当者を呼んでくださったり、図書室を案内してくださったり、想定外に多くの資料を紹介してくださいました。細やかな配慮のおかげで素晴らしい一日を過ごす事ができました。忘れないようにしたいのですが、あまりに色んな事がありすぎてどんどん頭から抜け落ちて行きます。しっかりした記憶力が欲しいです。

ロイヤルコレクションには、大英博物館に収蔵されるメリアンの作品群と同じ構図のものが複数存在します。お話しを伺って初めて、ヴェラムに銅版印刷によって図が移行されている事に気付きました。1700年代初頭に同時期に作成されたものだそうで、ヴェラムにエングレービングとエッチングを併用して下書きをした上で彩色を重ねています。また、鉛筆での下書きも含まれており、かなり特殊な工程で描画されたことがわかります。
ハード博士に確認しながら閲覧しましたが、短期間ではとても判別できません。作品はオンラインカタログからも閲覧できるのですが、肉眼でさえも下書きを見分けるのは非常に難しいです。

作品自体は博物学的にも審美的にも素晴らしく、遠方まで見に来た甲斐がありました。
もう少し早くメリアンに的を絞り、こちらを訪れれば良かったかと少し後悔しています。知識を補ってから将来的にまた訪れられるよう願っています。


余談ですが、先日の猛暑日にイギリスの最高気温を更新したそうです。
近衛兵の方々の分厚い服装を見ていると、やるせない気分になってきます。


Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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