作品調査21

リンネ協会で作品を閲覧させていただきました。

立派な吹き抜けの図書室には、四方の壁一面に古書が収納され、過去に収集された博物標本が展示されています。協会に伺う前から大変細やかな配慮と共に資料を準備してくださいました。
また先方のご厚意で、エイレットの作品に織糸マウントを施した担当者を呼んでくださり、修復前の状況や修復方法について直にお話を伺う事ができました。


閲覧を申請したのは、エイレットの作品と、18世紀の博物学者ジョン・エリス (John Ellis 1714-1776) の書簡です。エリスの本は一般的な書籍と異なり、手紙やメモ、顕微鏡で拡大観察された手書きの微生物の図など、個人的な目的で記録された資料が収められています。
今回の主な閲覧目的は、この資料に含まれるサイモン・テイラーによるコーヒーのデッサンと、そのデッサンをもとにしたジョン・ミラー (John Miller 1715–1792) による銅版画の確認です。

テイラーによるデッサンは、花のみを彩色写生したメモのような紙片でした。予想外に小さな資料でしたが、下図ならではの転写の痕跡を確認できたことが大変参考になりました。
さらに銅版作品について特に興味を感じたのは、先日閲覧した自然史博物館収蔵のエイレットの作品と花以外の部分がほぼ一致する点です。
この作品は、エイレットの作品を母体に、花部分だけテイラーの図を入れ替えたものと考えられます。過去にはよくあることですが、現代の植物画制作では考えづらい状況のため興味深く感じました。

Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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