作品調査17

自然史博物館で見た ’Plants by Taylor’ との比較のために、キュー図書館に再びお世話になっています。

図書館の入口ではフジの花が見頃を迎えていました。レンガの外壁に沿うように幹が固定されていて、こちらで良く見かけるドラマチックなアレンジ方法です。
限られた植込みも上手に活かす、園芸へのこだわりと工夫を感じます。


サイモン・テイラーの作品にはヴェラムに描かれたものと紙に描かれたものがあります。紙作品の中には完成度の高いものと、明らかに習作として描かれたようなものが見られます。なぜ紙とヴェラムの双方に描かれたのかはわかりません。

両者を比較してみると、構図や細密さは共通しているものの、別の作家が描いたかのような印象の差があります。
その理由は、ヴェラム作品が暗い階調で描かれているのに比較して、紙作品では明るい範囲の階調で描かれているためと感じています。
全体的に共通して、紙には白色顔料を多用して葉の光沢を表している反面で、ヴェラムでは地色を活かして葉の光沢を得ている事がわかります。この他にも紙では影を抑えているのに対し、ヴェラムでは強い影を頼りに形を表す傾向が見られます。 

個人的に、ヴェラムは沈み込むような暗い色を表しやすいように感じています。陰影を重視した描写は、この特徴を活かすためには理にかなった方法ではないかと考えています。

Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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