描画講習 Kew 植物学
今日はキュー植物園の植物学講座を受講してきました。
こちらの講座もチェルシー植物画学校が手配してくださったもので、私の個人カリキュラムに組まれています。
午前10時30分から午後4時までの1日のみの講座です。講師はキューの標本館で働く植物学者、アナ (Anna Haigh) 先生です。
場所は以前描画講座を受けた建物と同じ、設備の整った見晴らしの良い会場です。
受講生は13名、今回は私以外はほとんどがロンドン近郊に住んでいるイギリス人のようでした。趣味の園芸に生かすためや、珈琲豆の販売促進で植物の基礎知識が欲しい人など、それぞれ異なる背景を持つ受講生が集まっています。
午前中は植物学の基礎を網羅的に学びました。
植物の分類、植物の構造、茎・根・花などの各部位の役割と働き、単子葉と双子葉植物の違い、維管束や孔辺細胞などの構造と働き、受粉の仕組みとポリネーターとの関係など、スライドを見ながら解説が進められました。
1日だけの講座なので、サクサクとテンポ良く進んで行きます。
その後各自に用意されている顕微鏡を使い、単子葉植物、双子葉植物、合弁花などを解剖しながら違いを確認しました。解剖用のメスやピンセットや台なども全て各自に割り当てられています。
先生から配られる植物を次々に解剖し、解説を聴きながら観察します。
下はマウスプラント という種を半分に切断した状態です。
なんと赤丸で囲んだ部分が雌花、青丸内の花が雄花、フワフワした白い部分は花ではないそうです。黄色の丸で囲んだ場所に穴があいていて、ここから虫が入り受粉を手伝います。
マウスプラント
Arisarum proboscideum
午後は先生の解説つきで、温室内で実物の植物を観察しました。食中植物の仕組みや、シダ植物の受精など午前中に習った内容を、実物を見ながら確認していきます。
オオコウモリに受粉を委ねるために甘い蜜を作り出すというヒスイカズラの解説を聞き、先生の真似をして落ちた花の蜜を吸ってみました。たっぷりと甘い液体が満ちており、これならコウモリもたくさんやってくるだろうと納得です。
午後の座学では、リンネの命名法、現在DNA解析によって勧められている植物分類の改変について説明があり、その後植物画を使用しながら種を同定する学習、押し葉標本の作り方の実演などがありました。
とにかく盛りだくさんの1日でしたが、どの内容も無駄がなくサラッとしていて先生も爽やかな感じなので、不思議と胃もたれするような疲れはありませんでした。
座学と野外活動の結びつきがよくわかり、退屈せずにあっという間に時間が過ぎていきました。
堅苦しく感じていた植物学が、おもしろく身近に感じられるようになった気がします。
ヒスイカズラ
Strongylodon macrobotrys
0コメント