描画講座 Kew4
今日はペン画の続きを制作しました。
すでに作品を完成させた受講生もおり、やはりしっかりした経験者が集まっているようです。
ただ、集中力の必要な連日の制作によって、だんだん皆さん疲れが溜まってきたように見えます。私も目がおかしくなってきました。
午後は先生の様々な作品を見せていただきながら、構図の座学を受けました。黄金比や三分割法、三角形などの図形の利用、視線の誘導などの常套手段に加え、サイエンティフィックイラストレーションならではの構図の工夫もわかりやすく解説してくださいました。
教え方も上手なうえ、受講生に変な緊張感を与えない、気さくで素敵な先生です。
制作の合間を見て、まわりの受講生に少しづつお話を伺っています。
ロンドン近郊に住む年配の受講生は、退職後の趣味として植物画を始めたという方が数名、中には油彩画家や造形作家、すでに15年以上も植物画を描かれているような方々もいらっしゃいます。外見的にイギリス人かと思っていた方々も、この講座のためにアイルランドやイスラエルからきていることがわかりました。現地に住む方にも日本人やイタリア人がいらして、純粋なイギリス人はむしろ少ないのかもしれません。今後もお話を伺ってみたいと思います。
それに対して30歳未満の若年層は、植物学や薬学、デザインなどの何かしらの専門分野を学んでいる途中だそうです。彼らは植物画に関する仕事に携わるつもりで受講しているため、学芸員や先生に対する質問も将来を見据えた鋭さがあります。
世界的に見ても、植物画を専門に教育する大学や高等機関がほぼ存在しないのが現状です。したがって各国から植物画を志す人々がこの講座に集まることとなり、非常に国際色豊かなクラスとなっています。
数年前に同じ講座を受けた受講生から、以前より講座内容が難しくなっていると伺いました。以前はプリムラの代わりにシキミが課題だったそうで、明らかに描画の難易度が異なります。
前述のような各国からの需要と受講生のレベルに対応し、より高度な内容が提供されるようになってきたのではないかと思います。
数少ない植物画の専門教育機関として、キューが担っている役割の大きさを日々実感しています。
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