描画講座 Kew3
3日目の今日は、デッサンを元にペン画の制作に移行しました。
まず、道具と用法、描画技法と特徴、制作手順について、先生の丁寧な実演を通して学びました。ペン画を専門とされる先生なので、今までよくわからないままでいたペン画について詳細を知ることができ、とても面白かったです。
ライトテーブルの上に鉛筆デッサンをセットし、その上にブリストルボードという薄くて滑らかな紙を重ね、図を透かし写します。ブリストルボードに薄く鉛筆描きした上から直にペン画を制作します。トレーシングペーパーを使って転写すると、二度手間になって気分が萎えるので大変助かりました。
そしてなんと、受講生のだれも諦めることなく難しいプリムラを描いています。半数がデッサンを完成させ、ペン画に入りました。作品の様相からすると皆さんかなりしっかりした経験者のようです。
午後は標本館と図書館を訪れ、専門の職員から収蔵室の案内と説明を受け、標本製作の様子、描画部門での作品制作の様子、図書館での収蔵作品の閲覧をさせていただきました。
標本館には、タイプ標本といって、新種を発見した際に新種かどうかを確認するためのおし葉標本がたくさん保管されています。
私の聞き間違いでなければ、700万点もの標本が収蔵されているそうです。ダーウィンがガラパゴスで収集した植物や、バンクスが南太平洋航海で収集した植物も保管されています。
増築によって入り組んだ建物内を、カードロックの扉を解除しながら縦横に移動し、行く先々で数百年前の標本や収蔵品を見せていただきました。まるでロールプレイングゲームのようなワクワク感があります。
じつは標本室を拝見するのは今回で4回目なのに、何度訪れても楽しいです。かつて私が熱心に薬草収集をしていた事を知る方は、乾燥した植物標本がいかに私を興奮させるものであるか、容易に想像していただけると思います。下の画像のように、どの棚や引き出しの中にもぎっしりと標本が収蔵されていて、私には宝の山のように見えます。
10日間という短期講座の中で、これだけ濃い内容を提供できるのはキュー植物園の特権です。このような施設を受講生に公開してくれる事自体が太っ腹だなと感じます。
キュー植物園は、研究機関としてだけでなく教育機関としてしっかり機能していると実感しています。
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