描画講座

チェルシー植物画学校 (Chelsea School of Botanical Art) での描画講座が始まりました。キューでの作品調査と並ぶ、研修のもう一つの主軸です。

なんと、学校の別スタジオとのことで、学長のご自宅でプライベートレッスンを受けています。
私の滞在期間がちょうど学校の改編時期に当たることがわかり、紆余曲折を経て個人的なカリキュラムを組んでいただくことになりました。植物画講師としての指導力の向上を目的に、内容を設定していただいています。
普段はチェルシー薬草園で講座が行われており、定員は約18名で、アシスタントが2名ほどつくそうです。植物学やペン画など、内容によって専門の講師が担当します。
イギリスでどのような内容が提供されているのかを知り、日本での講座運営に役立てて行きたいと思っています。



今日は打ち合わせということで、次回の第1回目の講座に向けて読むべき資料と宿題を渡されました。日本の講座ではあまり聞かない内容なので興味深く感じています。

1) 渡された数種類の画用紙片に、鉛筆と絵具で試し描きを行う
→種類ごとの違いを把握し、どの紙が自分に合うかを知るため。これを参考に、後日自分に合った画用紙を購入します。

2) 過去の歴史的な植物画作家1名を挙げ、作品と背景を調べる
→植物画の歴史の長いイギリスならではの課題だと思いました。この課題は毎回出されるので、とても勉強になりそうです。


チェルシースクールの方針は私にとって大変賛同できるものでした。

一般的に、植物画は決められた型に従って教えられることが多いように感じますが、この学校では受講生それぞれの個性を阻害しないよう、本人に合う方法を選択肢の中から取捨選択してもらうという方針です。そのために、数多くの図録から構図の例題を提示したり、画材店と提携して専門的な情報や製造過程を説明してもらうなど、実に細やかで多くの選択肢を提供しています。

さらに毎回の講座で、受講生同士の作品鑑賞や、調べてきた歴史的な作家などを発表する時間を設けるなど、対話による学習を大切にしています。多くの作品や知識に触れることで、何が一般的に望ましい植物画であるかを理解し、それとは別に自分がどの方向に向かいたいのかを各自が選び取っていくことになります。

決められた方法論にそって唯一のゴールへ誘導するのではなく、それぞれのゴールに自ら辿り着くための過程を大事にしていると感じました。


学長のおっしゃる通り、この講座の中から自分に合った良い部分を選りすぐりたいと思います。


Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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