描画講座26
最後の描画講座はナショナルポートレートギャラリーでの作品鑑賞でした。
植物画はこれまで十分見ただろうという事で、人物画の陰影描写や衣服の質感描写に学ぶことが目的です。
15世紀のテューダー朝から、現代までの肖像画を見ながらディスカッションを行いました。時代によって傾向が異なり、全てを説明的に描写する傾向から、徐々に主題以外を省略したりぼかして描かれるような傾向にあります。近代では形式的な枠組みから離れた作品が多くなり、さらに現代作品では植物画と同じく写真の利用が目立ちました。
どの時代の作品も優れた技術が見られましたが、なかでも服の模様が過剰に表現された16世紀の作品が印象的でした。
作品からは、模様をリアルに描く事が楽しくなってしまった様子が浮かびます。その反面で人物の顔は別の作品をコピーして描かれたそうで、気持ちが離れている印象があります。
人物の生涯が物語仕立てになっている肖像画もあり、時代背景がおもしろいなと思いながら鑑賞しました。作品の良し悪しに関わらず、筆致や構図に作者の感情が込められている作品に魅力を感じます。
肝心の質感描写も勉強になりました。
まだロンドンでの植物画の立場を把握できていないので、今後は大学などの学術機関と現代植物画との関係を見ていきたいと思います。
0コメント