画材店

大英博物館の近くにL. Cornelissen & sonという老舗の画材屋さんがあります。
それほど大きい店ではないのですが、何となく落ち着く場所です。

日本からでもインターネットで商品を購入することができます。


店員さんによると、Cornelissenはロンドンでヴェラムを販売している唯一の画材店だそうです。
ヴェラムはレジカウンター奥の引き出しに丁寧に保管されており、他の画材とは別格の扱いを受けている様子。購入される頻度が少ないからかもしれません。ここではウィリアム・カウリーのA4サイズ未満の羊皮紙を扱っており、残念ながら大型サイズは置いていません。ちなみに、A4サイズで68ポンド、約1万円です!

「ケルムスコット」というヴェラムを購入しました。他の羊皮紙よりも厚く、歪みが抑えられています。白さも際立っていますが、ヴェラム本来の模様と質感をわずかに感じられる品です。


店員さんが大変丁寧に対応してくださいます。テンペラでヴェラムに写本を制作している美術学校の学生さんだそうで、制作者でないとわからない点にも触れられてとても勉強になりました。


ヴェラムの他に、保存修復に使用されるチョウザメ膠も購入しました。
日本では製造されていない材料のうえ、どうやら近年輸入禁止になったそうです。
チョウザメ膠(sturgeon glue)はチョウザメの浮き袋を乾燥させたものです。接着力が強くて透明度が高い希少な膠で、キューの保存修復作業でヴェラムの接着に使用されています。キャビアの親なだけあって、さすがに値段も高いです。

日本で購入できるニベ膠(魚の浮き袋から作られた膠)でも代用可能と思いますが、チョウザメの方がなんとなく性質が良さそうです。


他にも様々な商品が販売されています。
棚にずらりと並んだ瓶入りの顔料などを見ると、日本画の画材店を思い出させられます。なんとなく落ち着くのはそのせいかもしれません。

今後も何度か訪れる事になりそうです。


(画像は許可を得て公開しています)


Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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