ヴェラムのマウント方法


キュー植物園に収蔵されている20万点の絵画作品のうち、ヴェラムに描かれた作品は約800点を占めています。

ヴェラムは扱いが難しい素材であるため、キューの貴重な収蔵品でさえも歪みや劣化を免れず、過去に二回の保存修復事業が行われました。作品の劣化状態や修復の作業工程などが、報告書にまとめられ2012年に発表されています。

報告書には、ヴェラム作品の外周に別のヴェラム片を接ぎ合わせる方法や、すでに歪んでしまったヴェラムをプレスして平らにする方法などが説明され、貴重な情報が満載です。

そのなかでも私が最も驚いたのは、作品が歪まないようにと新たに採用されたヴェラムのマウント方法です。制作者の一人として、以前から大変興味のある課題です。

この技法を言葉で説明するのは難しいのですが、作品の外周に絹糸や和紙のこよりを糊付けして浮かせたような状態で台紙と接着し、ヴェラムの自然な伸縮を許すという方法です。にわかには理解できない、そして気の遠くなるような時間のかかる作業です。

どのくらいの効果があるのか知りたいので、数年後に自作に施す事を課題にしたいと思っています。

しかし、自分の作品に同じ方法を適用できるのか心配です。

このマウント方法は小さな作品に施す必要性が低く、その効果も見えずらいため、描画の完成した大型作品に試すことになります。せっかく描き終えた大型作品をみすみす無駄にするわけにはいきません。


今後の研修でキューのマウント方法を実際に見ることができれば、きっと試作への大きな手がかりが得られるだろうと期待しています。

Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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