作品調査40

大英図書館でメリアンの銅版作品を閲覧しています。

1776-1786年に出版された「ヨーロッパ産鱗翅類‐その変態と食草」2冊と、1805年に出版された南米スリナムの植物と昆虫について説明された大型の図版「スリナム産昆虫変態図譜」です。

どちらもラテン語で植物の解説がありますが、私には全く読めないので残念でしかたありません。
ポルトガル語やスペイン語では今でもラテン語由来の単語が多く使われていると聞きました。ヨーロッパの人々は、このような古典もおおまかな意味はわかるんだろうなーとうらやましく感じてしまいます。


肝心なメリアンの作品は、銅版画に手彩色が施されています。同じ内容の本を2冊比較しました。
興味深い点は、掲載されている100点の同一作品が、片方の本では全てが左右反転されている点です。以前ウィンザー城で閲覧したヴェラム作品と同じ状況であることがわかります。
これは一度印刷した作品のインクが乾かないうちに、別の紙を押し当てて図を反転したものと考えられています。推測されているこの制作過程を、より強く裏付ける資料と言えます。
彫版師の元に生まれたメリアンは、普通の絵師では思いつかないような特殊な工夫を凝らして制作していると感じました。

Plants on Vellum

ヴェラムに描かれた植物画 ー作品調査と実験制作ー

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