作品調査26
V&A美術館でエイレットのヴェラム作品を閲覧しました。
これまで見たエイレットの原画はほとんどが良い状態で保存されています。ヴェラムも劣化が少なく艶やかで、絵具もつい最近描かれたかのように鮮やかなまま残っている作品が多いです。
エイレットは多くのパトロンに恵まれ、質の高い画材を使用できたのだろうと想像しています。
今日閲覧したのは1740年代に描かれたユリ、マグノリアなど、彼の代表作と言える作品でした。ヨーロッパで初めて咲いたこのマグノリアの開花段階を観察するために、毎日のように持主の庭園に通ったとの逸話があります。描画だけでなく観察も念入りに行われており、作品から植物への熱意が滲み出していました。
これがエイレットが高く評価される理由かもしれません。
他に1600年代初頭の、エングレービングに手彩色された紙作品を閲覧しました。ドイツの植物学者兼植物画家バシリウス・ベスラー(Basilius Besler 1561- 1629)によって描画・出版されたもので、描画技術の高さに感嘆させられました。
この研修ではヴェラムに描かれた作品を調査対象にしていますが、支持体や技法に関わらず素晴らしい作品を目にしてきました。
閲覧時には機械的なサイズ測定や、描画技術の評価などに冷静さが求められます。しかし数百年前に描かれた巨匠の作品を目前にすると、息を飲むばかりで、冷静に観察するというのはなかなか難しいことです。
画像掲載についてまだ確認しておらず、せっかくの作品をご紹介できずに残念です。
上の画像は特に関係ないもので申し訳ありませんが、V&Aにあるセルフサービスのカフェです。価格も手頃で誰でも気軽に使える割に、その華美な装飾が圧巻です。
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